新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、今日、この良き日を心待ちにされていた保護者の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。少し前までランドセルを背負っていたみなさんが、真新しい服装でこの体育館へ入場される姿を見ていると、なんだかそれだけでも大きくなったなと感じさせてくれます。

　みなさんは、今日から三年間、この清新第一中学校で学んでいくわけですが、期待や不安が入り混じっているのではないでしょうか。先生はどんな人だろう？先輩は怖くないかな？部活動は何しよう？など様々な想いを持っていませんか。でも、小学生から中学生になったからといって何かが急に大きく変わるものではありません。今までと同じ生活や行動をしていれば何も変わりません。私はせっかく中学生になったのだから皆さんに変わってほしいと思っています。

　日本アニメの代表的なドラえもんは皆さん知っていますよね。その中で登場するのび太も当然知っていると思います。「のび太」というキャラクターの印象はどんなものがありますか。勉強ができなくて、臆病で、すぐに諦めて泣きながら、ドラえもんに助けを求めるといったところでしょうか。

　格好悪くないですか。私はのび太のような格好悪さを中学生らしく皆さんに目指してほしいと思っています。中学生の「のび太」を皆さんらしくアレンジして目指してほしい。

　夜遅くまでスマホやゲームをして朝起きられないとか、友達の嫌がることをおもしろがったり、いじめたりといったことは格好悪いことではありません。やってはいけないことです。格好悪いこととは、地味な努力のことで、コツコツ勉強をする、とか部活を必死にしたりすることです。塾に行って勉強したり、家で遅くまで宿題したり、部活でいっぱい練習しても結果が出るとは限りません。いくらやっても分からなかったり、部活で負けて悔しくて涙したりこれからあると思います。でも、そういうときに限って、親から何だこの点数は、ちゃんと勉強していたの？とかもっと頑張らないとだめでしょ？とか言われると、ムカついたりイライラして八つ当たりしたくなりますよね？　そういう姿が格好悪いというのです。なので、これはいいのです。格好良くなるには、格好悪さが必ず先にきます。

　ウォルト・ディズニーも今の大きな会社になる前には、会社を倒産させてしまうなど格好悪いことをしています。しかし、世界中の子供や大人に夢と希望を与えられるような輝かしい大人になりました。これからの三年間という学校生活で感じる苦労とか困難とか、嫌だなと思う気持ちは、皆さんがキラキラ輝くために必要な通り道だとわかっていれば、将来がワクワクしませんか。

　実はそのワクワクを応援する人がいるのです。皆さんの周りにいる大人全員です。そして、PTAは皆さんの応援団なのです。PTAは先生や学校の味方ではなくて、皆さんの味方なのです。決して敵になることはありません。この先、学校生活を送る中で、こうしたい・ああしたい。例えば、学校のルールを変えたいとか、髪の毛染めてもいいんじゃないかとかあるかもしれません。様々な要望を出しても全部受け入れてもらえないと思います。そして、先生や学校に言えない悩みとかが出てくると思うのです。その時は「PTAに言ったらどうなるのだろう？」。入学式のときに前で話していた人が「PTAは味方になる」って言っていたよな、って、と思い出してほしいです。

　実は、PTAって誰もやりたくないのです。大変だし、忙しそうだし、面倒くさそうって。多分、保護者はそのように思っているかもしれないです。でも、少なくとも役員を引き受けてくださった方は、みんなのために何かをしてあげたいと思っているのです。だから、遠慮なく頼ってください。最後にPTAがあるって覚えておいてほしいです。

　これから三年間、格好悪いけど努力を惜しみなくやってもらえれば、一中に来てよかったと思えます。そして、一中にきて良かったといってもらえるような応援を私達にさせてください。卒業するときには素晴らしい景色や花が咲くように陰ながら、というより全面に出て応援させてください。もう一度言います。格好悪い努力を惜しまないでください。皆さんに期待しています。

　ご来賓の皆様、地域の皆様、本日はお忙しい中ご列席いただきまして誠にありがとうございます。ここにいるすべての子供たちをときには厳しく、そして暖かく見守っていただければと存じます。松木校長先生始め、諸先生方におかれましては、新しい環境の中での子供たちの健全な育成をお願いいたします。保護者の方々、地域の方々、そして先生方、この一中という「まち」に関わる大人としてすべての教育力を結集し、子供たちのサポートをお願いいたしまして、お祝いの言葉に代えさせて頂きます。本日は、ご入学、誠におめでとうございます。

令和六年四月九日

江戸川区立清新第一中学校PTA

会長 松尾泰典